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ドは何色?

ドレミファソラシド♬ 音をイメージした時、音を聴いた時、何色に見えますか?今日のブログは、音には色があるというお話。

音の色

ピアノの音を覚える時に、小さい頃ワークで音の色塗りをしたことがある方は多いと思います。実際私も生徒さんにやってもらっている園児向けのワークは、色塗りから始まります。
ドは赤、レは黄色、ミは緑、という具合に。
レはきっとレモンの黄色、ミは緑のミの文字から取ったのでしょう。
でも人によって音のイメージカラーは違うと思います。というより、そもそも音に色があるのでしょうか?
色のイメージは後付けなのか、みんな一様にその色をイメージするものなのか。それともイメージすらしないのか。
深く探っていきましょう。

色彩の作曲家スクリャービン

音と色のお話で欠かせないのがスクリャービンです。ロシアの作曲家で、主にピアノ曲やオーケストラの曲を作曲したことで有名です。彼は色の感覚を音楽で、すなわち調性(ハ長調、ト長調など)によって色彩の変化を表現しようとしました。

スクリャービンによると、
C dur【ド】・・・赤、単純な
G dur【ソ】・・・オレンジ色の、赤みがかった黄色の、火のような
D dur【レ】・・・黄色い、太陽の
A dur【ラ】・・・緑、草色の
E dur【ミ】・・・緑がかった青、空色の
H dur【シ】・・・淡い青色の、空色の
Fis dur【ファ♯】・・・すみれ色に近い深い青
Des dur【レ♭】・・・すみれ色、純粋な
As dur【ラ♭】・・・ライラック色の、赤みがかった
Es dur【ミ♭】・・・青味がかった、鋼鉄色の、金属の
B dur【シ♭】・・・灰色の金属の、鉛色の
F dur【ファ】。。。赤い、深紅の

皆さんはどう思われましたか?
ドとレは何となく分かる気がします。

他の作曲家リムスキー・コルサコフは、C durを白色としています。

因みに私は、
ド・・・赤
レ・・・黄色
ミ・・・オレンジ
ファ・・・水色
ソ・・・青
ラ・・・紫
シ・・・グレー

に見えます。
人によって感じ方が違うということですね。
きっと何色にも見えないという方もいると思います。でも曲の雰囲気でぼんやりと、暖かい感じ、冷たい感じ、空の感じ、など感じるのではないでしょうか?色を感じるのもそれに近いかもしれません。

シャープとフラットのイメージ

調性によって色が違って感じると書きましたが、シャープとフラットの調性にも違いがあります。
フラット♭の調は暖かい感じの暖色系、シャープ#の調はビビット系にも感じる方が多いと思います。
歌い手さんは、声の調子やご自身の声域によって調性を変えて歌われることが多々あります。その時は何調に変えてもいいわけではなく、お互いに曲の雰囲気や歌詞の意味などを考慮して調性を決めます。
この曲は柔らかい曲調だから、シャープ系の調性は合わない、フラット系の調性にしよう、この曲は速い曲だから軽やかにシャープ系の調性にしよう、といった具合です。

例えば、F durの曲をE durで演奏した時の違和感は半端じゃないです。フラット1つの調から、シャープ4つの調に変わるからです。私のイメージでは、穏やかなのんびりした田園風景の田舎から、急に煌びやかな都会に出てきてしまったかのような雰囲気です。

作曲家の意図もとても大事ですね。
折角シャープ系の調で書いてあるのを、フラット系にしていまう時は、皆少し躊躇します。仕方なくその調性にする時は、演奏でその雰囲気を出すしかありませんので、腕の見せ所です。

絶対音感と相対音感

さて、先ほどの歌い手さんの調性問題と色の感じ方に関係するお話で、絶対音感と相対音感というものがあります。これについて書くと長くなるのでここではサラッとだけ。

絶対音感とは、ドレミと弾いた音が、ドレミだと分かること。その音の絶対的な音の高さが分かること。
相対音感とは、一つの音と別の音がどれだけ離れているかが分かること。基準となる音が必要です。

ピアニストやヴァイオリニストは絶対音感がある人が多いですが、声楽家はまちまちです。
移調楽器(サックスやクラリネットなど)の人も絶対音感があると困る場合がありますね。書いてある楽譜と出ている音が違うからです。伴奏譜は、楽器の調性と伴奏譜の調性が違うので初めは戸惑います。

絶対音感がある人は、譜読みが得意ですので、書いてある音を正しく出すことができます。相対音感がある人は、伴奏者が何調で出ても問題なく歌えます。違う調で弾き出しても気が付かない人もいるくらいです。歌い終わってから、声の調子が悪いと思ったなどと言い出します。ピアニストからすると信じられないことですね。

彼らにも調性によって雰囲気はあるようですが、絶対にこの色!という訳ではなさそうです。

まとめ

ピアノを演奏するにあたって、音の色、調性感覚は非常に重要です。
音の色が見えない方もいらっしゃいますし、寧ろ見えない方が大多数でしょう。
逆に色に固執するあまり、音符に色を塗らないと音符が読めず、弾けないお子様がいることも事実ですので注意が必要です。

音の色=曲の雰囲気と思ったら良いのではないでしょうか。
音によってではなく、曲によっても色が違っても良いと思います。作曲家の色もあるでしょう。
モーツァルトはピンク色、バッハは白、などなど。

曲の雰囲気や特徴を捉えるのに役に立つ感覚です。これから練習する時に、この音は何色だろう?この曲の雰囲気は何色?とイメージしてみてください。演奏の幅がぐっと広がることでしょう。