同じ時期にピアノを習い始めたのに、どうして差が出てくるのでしょう?才能がない?練習時間が足りない?先生が悪い?練習時間が短いだけが問題でななさそうです。
ピアノが上達する子と、上達しない子の違い
イタリアに留学していたヴァイオリニストの友人と、演奏が上手になる子と上手にならない子の違いをディスカッションしました。
お互いに生徒さんがいて、どうしたら上達するのか、他の先生との教え方の違い、環境など、様々な角度から話し合った結果、
ピアノとヴァイオリンという楽器は違っていても、上達するのに必要な理由、上達しない理由は同じでした。
レッスンは練習の場ではありません
楽器の上達に一番必要な事は、練習時間です。
しっかり練習する子と、何となく気が向いたら練習する子ではレッスンでの演奏で直ぐに分かります。ただ単に練習時間が多ければ良いという訳ではありません。練習するには理由があります。
練習してくる子は、きちんと「レッスン」が出来るからです。
家で練習してきた成果をレッスンの場できちんと発表できるのです。自信を持って先生の前で演奏することができます。
「レッスン」とは、そこがスタートです。
そこから、表現法、楽譜の読み取り、解釈、音の間違え等を指導していきます。
教える内容も濃くなりますし、楽譜通りに弾いてから、その先にようやく音楽に触れることが出来るのです。
更に出来る子は、自分はこう弾きたいという表現を演奏に取り入れてきます。レッスンで生徒と先生の音楽ディスカッションが出来るのです。
一方、練習してこない子は、「レッスン」が「練習の場」になってしまします。
いつも譜読みの練習でレッスンが終わってしまいます。
楽譜通りに弾いて終わり。。。音楽の楽しさはその先にあるのに勿体ないことです。先生はもっともっとたくさんの事を教えてあげたいのに、練習の為のレッスンだなんで、少し悲しいですよね。
「レッスン」とは、練習のためのレッスンではなく、
家で練習してきたことを、より良くする為のレッスンです。
その為には、ある程度の練習時間が必要になってきます。
ですが、ただ一言で練習時間が多ければいいという訳ではない、ということがお分かりだと思います。
もっともっと先生から吸収してください。
ソルフェージュの能力
レッスンでソルフェージュをやっている子、もしくは得意な子は、上達が物凄く速いです。
そもそもソルフェージュとは?「リズム」「メロディー」「ハーモニー」などをしっかりと身に付ける為に、例えば聴音や楽典、初見など音楽の基礎的なお勉強をすることです。
普通のピアノを弾くレッスンだけでなく、楽譜を書いたり、リズム練習したり、歌ったり、楽譜を読み取る練習をしたりします。
演奏テクニックではなく、音楽の基本的な知識や感覚を身に付けるのに、非常に重要なものです。
ソルフェージュ能力がない子は、まず音符を読むのが遅いので、練習時間が余計に長くなり、必然的に上達に時間がかかります。
演奏テクニックとソルフェージュ能力は、同等に必要なものだと言えるでしょう。
楽器に適した性格
楽器は好きなだけじゃ上達しません。もちろん好きであることが大前提なのですが。
上手になる子は、上手になるべくした性格だと思います。
忍耐力があること、集中力があること、負けず嫌いであること。
その性格だからピアノをやっているのか、ピアノをやっているからその性格なのか。
卵が先か、鶏が先か、という問題になってきますが、
言えることは、上達する子はみんな負けず嫌いです。他の子に負けたくないという気持ちもあるでしょうが、何よりも自分に負けたくない、という強い意志を感じられます。
時には上手く弾けないと、悔しくて泣いてしまう事もありますが、その悔しい気持ちがとても大事だと思います。
才能・センス
残念ながら、才能とセンスは生まれ持ったものですので後天的に身に付けるのは難しいかもしれません。
才能とセンスがある子は、一度言えば簡単にできてしまったり、感覚でできてしまったりします。もしくは求めている以上の演奏をしてくれます。
環境でその能力はある程度補えるものかもしれませんが、才能には負けますよね。
99%の努力と1%の才能の、たったの1%ですが、音楽家であれば誰でも喉から手が出る程欲しいものでもあります。
環境・両親の理解
お金と言ってしまえばそれまでですが、楽器が置ける環境というのは大事です。
電子ピアノよりアプライトピアノ、アプライトよりグランドピアノ。大きさが大きければ音も大きいので、長時間演奏できる防音室などの環境が必要になってきます。
楽器が演奏家を育ててくれるのも事実です。良い楽器は、良い音や弾き方を教えてくれます。だから演奏家は良い楽器を欲しがるのです。スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ストラディバリウス。。。
ピアノは、コンサートでは自分のピアノではなくホールの良いピアノを弾けます。他の楽器は自前の楽器を用意しないとならないので、そこでもう演奏に差が出てしまうのです。
音楽大学に行くと、フルートはゴールドやクリスタルの素材を、ヴァイオリンだったらもっと高くて良い楽器を買いなさいと先生に言われることでしょう。
そしてゆっくり集中して練習できる環境も大事です。これは場所の問題ではなく、周りの家族の理解があるかどうかです。
小さいうちは、子供が自分で判断できませんので、ご両親がある程度その環境を作ってあげることが大事になってきます。音楽家のご両親たちは本当に熱心だと思います。所謂ステージママであったり、静かにじっと見守るご両親、とてもストイックなご両親。
どんな見守り方であっても、きっとご両親が一番のファンなのでしょう。
ご両親が音楽をやっている必要は全くありませんが、いつも一番のファンでいてあげることが、子供にとって一番の幸せなのかもしれませんね。
まとめ
子供がピアノが上手になるには、本人の努力とご両親の努力+生まれ持ったものが必要だと言えます。
とは言え、結局のところは99%の努力でしょう。
どのレベルまで上手になりたいか、でも頑張りの量が変わってくると思います。
音大に行きたいのか、趣味で楽しみたいのか、知育の為にピアノを取り入れるのか。
お子様の成長に合わせて、お子様とご両親でその都度ご本人の意思を確認しながら、道を選択していくと良いでしょう。